雨瀬シオリさんの『ここは今から倫理です。』が実写化!
その人の価値観って何だろう。
と、それぞれの持つ価値観が揺さぶられ続けるこの世界で『倫理』を問う。
これまでに見たことのない学園&ヒューマンドラマです。
『倫理』とは人倫の道で道徳の規範という何となくの意味は分かりますが、これクールに教師・高柳が生徒に教えるそのやり方がとても素晴らしいと関心しました。
『ここは今から倫理です。』は、一話か二話ごとに生徒一人一人に焦点があてられていて
- 自傷行為
- 性暴力
- 半グレ
- 引きこもり
- 同調圧力
生徒一人一人が抱える問題や、教師・高柳との関係性がメインストーリーとして描かれています。
こういう問題に『倫理』を絡めると一見お堅い印象を受けるのですが、実は私たちの身近に倫理は無数に存在するのですよね。
また、簡単なことのようで深く正解がないのも倫理です。
それを独特のスタンスでズバリの回答ではなくアドバイスを提供する高柳が印象的です。
安易に寄り添ったり救わない。
なかなかこれを実行できる大人はいないと思うのです。
どうしても可愛さが勝り、早く苦痛から解放してあげたいと自分の子供や生徒には救いの手を差し伸べてしまいがちです。
ですが、高柳はそれをせずに、最終的に他者との会話で解決へと導くという、簡単にできることではありません。
この教師・高柳を演じているのが山田裕貴さんなのですが、静かに抑えつつ芯のある演技が訴えかけが視聴者にストレートに伝わってきましたし、ミステリアスな部分も引き込まれます。
生徒役のキャストが少数精鋭で、それぞれの役柄こ個性を大事に表現されています。
今回は生徒と教師というポジショニングになっていますが、異端な人間を除外しようとする同調文化は高柳の授業を受けないといけないほど大人の方が深刻です。
時間も皆平等に与えられていて、それをどう生かすか考え次第で生き方が大きく変わってくるのだということも改めて感じました。
原作をうまく実写化していて既に原作を読んでいた私も十分楽しめましたし、ドラマの世界に引き込まれました。
現代に生きる若者の姿をリアルに映し出した、私の中で最優良な作品でした。